ついでなので“英語耳”について、もうちょっと。
英語英会話ビジネスの流行をいちいちマジメに追いかける趣味はないが、袖すりあうも他生の縁というしね。
①英語にあって日本語にない音がたくさんある
②人は耳で聞いた音しか発音できない
③発音できるとリスニングできる
④発音できないと聞き取れない
⑤逆にいうと発音できれば聞き取れる
⑥つまり聞き取れれば発音できる
⑦だから耳を鍛えるのがよい
なになになに?
ゆっくり行こう。
難しいこと抜きでよくわかるように話そう。
まず①英語にあって日本語にない音がたくさんある。
そりゃそうだろうねぇ。
『ライト』って言っても右だったり光だったりするんでしょ?
ごはんを頼んだのに変な虫が出てきちゃうんでしょ?
ガイジンさんの日本語も、みんながみんな完璧じゃないところを見ると、英語の方が音が“たくさん”あるかどうか、つまり、日本語の音の方が“少ない”かどうかはわからないけど、違いがあるってことは確かだろうねぇ。
②人は耳で聞いた音しか発音できない
そう言われてみればそうだ。
聞いたことない音を出せって言われてもできないよね。
どんな場面でそんなこと言われるかは知らないけど。
③発音できるとリスニングできる
今度は“受信”と“発信”の量の違いの話だね?
漢字なんかでも“読めるけど書けない”って、結構あるもんねぇ。
書けりゃあ読めるんだけどさ。
聞ける量の何%を発音できるかはわからないけど、発音できる分には聞けるだろうねぇ。
ふむ、わかるよ。
④発音できないと聞き取れない
へ?そうなの?
アメリカなんかだと移民の子どもは、親よりアメリカ人らしくしゃべるんだよね。
親は子どもと同じようには発音できなくても、ちゃんと聞けてるみたいだよ。
発音はイマイチでも英語で生活できている人は、たくさんいると思うけど。
*注:『英語耳』(アスキー)では「そういう人は集中しているときしか聞けていない」と説明(p.17)
⑤逆にいうと発音できれば聞き取れる
これ、さっきの③に戻っただけだよね。
“逆に”って?
こんがらがってきたぞ。
⑥つまり聞き取れれば発音できる
読めて書けない漢字は、ある、んだったよね?
聞けても発音できるとは限らない、んじゃなかった?
んんん?
⑦だから耳を鍛えるのがよい
急に“だから”って言われても…。
まだ⑥までちゃんと納得してないのに。
何度も言っているが日本の英語産業は、教育っぽく見せる悪いクセがある。
商売として成功し儲けることは構わないが、教育の笠を着ると話がややこしくなる。
“英語耳”の素晴らしいところは、消費者を惹きつけるインパクトのあるネーミング。
“駅前留学”に代表されるように、モノを売るにはよくできたコピーが不可欠なのだ。
ヒット商品の即効性は魅力である一方、長期的な効果を証明する前に一過性のブームとして消えてしまう可能性がある。
消えるのは勝手だが、残された消費者は損をする。
商売が求めているのは生徒ではない。
商売における成功とは誰かの学力向上ではない。
商売の目的は人を育てることではない。
会社組織や徒弟制度など、商売に教育的要素を組み入れるのが効果的だからと言って、教育に商売を組み入れてよいことにはならない。
商売と教育は、“混ぜるな危険”なのだ。