小包の中に新聞の切り抜きが。
2008年9月26日付中日新聞夕刊『あの人に迫る』。
鳥飼玖美子立教大教授が小学校での英語教育を批判していた。
小学校でやったからといって英語ができるようになる保証はない。
素人のネイティブ講師では効果がない。
先生の負担が増える。
公の教育として英語の他にやるべきことがある。
こういう影響力のある方が、マスコミを通じてものすごくまっとうなことを、親切かつ論理的に説いても、世間はなかなか言うことを聞かないんだろうなぁ、それでもやはり声を上げていくことは必要だなぁ、と思いながら読んだ。
切り抜きを裏返すと、アメリカの銀行破綻の1面トップ記事。
そのすぐ下に、『電子装置で「英語耳」に』という見出しがある。
下の方が切れていたので、残りをネットで検索して読んだ。
市の教育委員会が小学校の英語教育に、フランスで開発された“電子耳”なる装置を導入することを決めたらしい。
要するにある研究者が
・文科省の補助金を遣って
・公立小学校の児童をサンプルに
・3年以上の歳月をかけて
・“日本語になくて英語にある周波数の音域が聞き取れるように聴覚を鍛え”られるかどうか、実験を行うということ。
さらにそれを教育委員会(+マスコミ)が支持しているということだ。
正気の沙汰とは思えない。
英語教育導入の目的は、国際的なコミュニケーションができる人材育成であったはず。
音声学的に聴覚を鍛える科目は必要ないし、仮に聴覚が鍛えられたからといって、それが英語教育に役立つなどという話は、私の知る限り学会では証明されていない。
“英語耳”とかいういいかげんなネーミングは出版産業の内にとどめていただきたい。
この記事のすぐ次のページに、鳥飼教授のインタビューが配置されているというのは、皮肉なのか作戦なのか単なる偶然か。