ソーシャルネットワーキング(SNS)における人間関係について。
コミュニケーションの授業でこのネタが取り上げられた。
平均年齢24-5歳のクラスでは、ほぼ全員がMySpaceまたはFacebook(日本でいうところのmixi)のヘビーユーザー。
未成年のSNS利用、親世代以上が持つ偏見、メンバー内の暗黙のルール、プライバシーなど、SNS特有の奇妙な文化と、それが対面(オフライン)の人間関係にどう影響するか、について話し合った。
特におもしろかったのは『トモダチ』の考察。
『トモダチ』を検索しリクエストを打つという行為や、もらったリクエストを断れない理由、『トモダチ』になった後の動き(日記・プロフィールの閲覧、Top8の利用)や、『トモダチ』の数に対する意識、『トモダチ』と友達の違い。
ちなみにMySpaceでは、Mixiでいうマイミクを”Friends”と呼ぶので、なおさらややこしい。
経験談や意見を聞きながら、ヘビーユーザーと言えども、まだSNSを一般社会の下位カテゴリだと思っているのは正当すぎて盲点だらけではないかと考えていた。
対面式の人間関係をメインとみなし、SNS参加者をこっちへ引っ張ってくる方法を議論していては、なんというか、脇が甘いような気がする。
せっかくコミュニケーションを専攻して大学院にまで来ている学生なんだから、「近い将来、SNS的な人間関係こそが中心となり、一般社会にも適用されるようになるかもしれない」ぐらいの思想を、少なくとも理解できるようになってもらいたいものだ。
そうでなければ、この若者たちはまもなくSNSの“会員専用の人間関係”システムから外れて、“偏見だらけの親世代”と同じグループに入れられるだけだ。
ところで、論文にもあるが、ヘビーユーザーの多くが「特に理由もなく」参加しているのに対し、参加しない側には「確固たる理由がある」というのもおもしろい現象だと思う。
そういえば、初めから興味がないと知っていて参加するというのも、好きじゃないけどひとまず置いておくというのも、私らしくない選択だった。
やってみて合わなかったら辞めるべきだ。
在籍中、ほんの数回だけど、「会員でよかった」と思ったこともあった。
それで十分。
参考文献
Boyd, D. (2008).Why youth (heart) social network sites: The role of networked publics in teenage social
life. In D. Buckingham (ed.), Youth, Identity, and Digital Media (pp. 119-142). The John D. and Catherine
T. MacArthur Foundation Series on Digital Media and Learning. Cambridge, MA: The MIT Press.
Zhao, S., Grasmuck, S., & Martin, J. (2008). Identity construction on Facebook: Digital empowerment in
anchored relationships. Computers in Human Behavior, 24, 1816-1836.