“Incomplete(インコンプリート:保留)”という制度について。
ペーパーなどの提出物が締切に間に合わないとき、そのままではF(単位取得失敗)になってしまうので、成績をつけずにしばらく待ってもらうこと。
修士の間はその存在自体も知らなかった。
んー、というか、締切がゆるいのはうすうす感づいていたけど、あくまで教授と学生の個人的な交渉かな、ぐらいに思っていた。
修士を卒業した夏、ある人が“耳寄り情報”的にそのシステムを教えてくれ、どうやら思ったより公式なことだと知った。
ここ1年、本当に頻繁にこの話題に出くわす。
学期初めにもらうシラバスに「私はIncompleteには応じません」と書いている教授もいたが、結局はそのクラスでもIncompleteにしてもらったクラスメートがいた。
今日はPhDのクラスメート5人でランチをしたが、他の人たちはまだペーパーを抱えていて、「えー?終わったの?全部?」と聞かれた。
締切を過ぎてどれくらいの期間が与えられるのか、減点などの措置があるのかどうかなど、詳しくは知らない。
私には向かないシステムだし、知らない方がいい気がするので、聞かないようにしている。
教育をする側から見れば、多少の猶予を与えて学生が満足の行く結果を残せるなら、協力しない理由はないのだろう。
同じように卒業に関しても、何年かかろうが、学生が必要とする時間をたっぷり与えればよい、という考えがある。
画一的な期限やルールで学生の可能性を絶つのが教育上の目的に反するのはわかる。
学ぶ側も同じ気持ちならいいのだけど。
私は麻薬みたいなもんだと思っている。
ギリギリの状態の時に目の前に現れる甘い誘い。
一回手を出すと戻れない。
これを奨励するのも、教育上の目的に反するのではないのかな。