別れ際に、振り返る人とそうでない人がいる。
以前Kさんに、「うちの母は私や父が出かけるとき、角を曲がって見えなくなるまで立っている」という話をしたら驚かれて驚いた。
角まで来たら、振り返るのが当たり前になっている。
手を振って、それから家に入る。
友達を家まで送ったとき、車が発進するまで待っている人がいる。
駅のホームでドアが閉まっても、ガラス越しに誰かを見送っている人がいる。
「じゃあまたね」と言った後、一度も振り向かずに去って行く人がいる。
何かの偶然で振り返ったとき、誰かが自分を見ていたと知ったらどう思うのだろうか。
見送られていると思ったこともないのだろうか。
それとも振り向いて誰もいなかった経験が、そうさせるのだろうか。
寂しい習慣がついた子どもは、やるせない。