専門職

Tの引越にともない、トースターをもらってきた。

アメリカでは時々びっくりするぐらい低性能の家電製品が、現役で活躍している。
図体の割に吸引力の弱い掃除機や、昭和な炊飯器については以前紹介したとおり。

うちのトースターは、気を許すと火傷を負う危ないヤツだった。
よく見ないで買った私が悪いのだが、扉を開けてもトレイがついて出てこないなんて、夢にも思わなかったのだ。

焼きあがったパンはトースターの奥に鎮座したまま。
庫内は丸いパンだと頭スレスレの低さなので、手を突っ込んで取り出そうとすると天井に触ってしまい、「熱ちっ!」となる。

貧乏学生なので、壊れてもいない物を買い換える気になれず、注意しながら使い続けてきた。
が、もらいものなら話は別。
あっさりトースターの新旧交代となった。

料理好きのTらしく、温度・調理・焼き目のダイヤルがついた中型サイズ。
やはりトレイは出てこないが(そういうもん?)、高さが十分あるので火傷の心配はなさそう。

しかしこのちょっとした高さが、キッチン用品の配置に問題を来たす。

コンセントが1箇所しかないのでエリアは限られている。
今までのトースターはレンジの上に収まっていたが、今度のはキャビネットにつかえてしまい、重ねて置くことができない。

仕方なくトースターとレンジを並べて置く。
キッチンがずいぶん狭くなったように感じる。

日本には君たちより小さいボディで、オーブン・トースター・レンジの機能を果たす優れものが存在するのだよ。
最近じゃスチームやグリル、揚げ物もこなすらしいよ。
…と説教したところで、生まれも育ちも広い国の人たちに効き目はない。

ここは完全分業の専門職の国。
リンゴ皮むき器でじゃがいもは剥かないし、エアコンで暖房は入れないし、サポートセンターでは担当者が入れ替わり立ち代わり、たらいまわしに遭う。

同僚が忙しそうにしてるんだから、談笑してないで手伝ってあげればいいのにと思ったりするけど、それは必ずしも許されることではない。
それぞれの責任をお互いに侵害しないルールが、“みんなでテキパキ片づける”を良しとしない場合がある。

とはいえ遅ればせながら携帯も進化してきて、大きな手でタッチペンを駆使する時代。
これからは小っちゃい体でマルチに仕事をこなす器用なヤツが重宝されるようになっていくかもね。

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