月曜日の授業は、”Meta-analysis & Literature Review in Education”。
日本語にすると、“教育に関するメタ分析と文献論評”。
メタ分析は辞書によると、“研究の統合と研究の評価の実施”。
平たく言うと、ひとつのテーマについて書かれた論文をまとめること。
当然ファイナルでは自分の研究テーマでLit. Reviewを書くのだが、今はその準備と並行して、論文の分析・批評をしている。
約40ページの論文を全員が読み、それぞれ2ページ程度の批評を書いてから、オンラインで数日ディスカッションをしてきた。
何が正解不正解というものではないけど、とにかく皆の視点、読み方に圧倒される。
「そんなにケチつけなくても…」と思ってしまうくらい。
たとえば今回の論文はさらっと読むとどこも悪くない。
それでは何も書けないのでじっくり読む。
何とか形にして批評を出す。
すると皆がピラニアみたいに食いついてくる。
「ここはこういう意味で言っているの?それともこう?」
「君が明確でないと指摘している部分だけど、ここにこう書かれている。これではないの?」
「確かにそうだと思うけど、こうとも言えない?」
同様に私がツッこんだ点に対しても反論が来る。
「それは言えるね。ただ私が思うに…」
「なるほどね。自分にはそう思えなかった。だってね…」
Peer review(査読)の経験豊富なB教授はディスカッションの間ずっと静観していて、今日の授業でタネ明かしをする。
「賞賛の声が多くて驚いたよ。はっきり言ってこれは良い論文とは言えない。私なら差し戻しするね。」
有名なJournal(学術雑誌)に掲載されていること、参考文献の数や知名度などは関係ない。
問題は論文そのもののクォリティ。
教室でさらにディスカッションを重ね、「言われてみれば確かに」という点がボロボロ出てきた。
私は教授や皆の意見を聞き、「な~るほど~」と思うばかりのお客さん状態で、貢献度はゼロに近い。
Tが「何度読み返してもわからない」と言ったところなど、私は何の疑問も持たずに通り過ぎていた。
にもかかわらず皆は皆で、「まだまだだわ(I need to be more critical.)」なんて言ってる。
修士の時はこんな私でも、情報を鵜呑みにするクラスメートに待ったをかけることもしばしばあった。
博士に入る前M教授に修士と博士の違いを尋ね、即答で”Depth.”と答えられた意味がじわじわとわかってきたような気がする。