学歴

説得力がないのは承知の上で。

学歴のてっぺんにあるPhD。
“Doctor of Philosophy”のことで、日本語で言えば「~にやたら詳しい人」というほどの意味だと思う。
「何でも知ってる」はたぶん間違い。

“~”に辿りつくまでの過程を、“買い物”に例える。

人生で4回目ぐらいのクリスマスに、「何が欲しい?」と聞かれても、本人もよくわからない。
サンタさんという見ず知らずの方に無料でお届けしていただくので、あまり贅沢は言えないとしても、何年か後に「あの時本当にこれが欲しかったのか」と自問すると、たいていそうでもない。
そもそも根拠がない。

友達が持っているだとか、おもしろそうなコマーシャルを見たとか、経験を重ねているうちに好みが出てくる。
何度か注文をしているうちに、だんだんと自分で買いに出かけたくなってくる。
親の許可を得て友達と待ち合わせをして、近所に買い物に行くようになる。

若者と呼ばれる年頃になると、自分のものは自分で選ばないと気が済まなくなる。
どこで買い物をするかも大きなポイントになる。
とはいえ何を買ったらよいかはまだはっきりわからないので、同世代の似たような人の集まるところにとりあえずくり出す。
たとえば渋谷あたりにしておけばひととおり何でも揃いそうなので、そのうち買いたいものも出てくるだろうと期待して、せっせと通う。

セレクトショップで好みを探す者もあれば、ブランドで全身を固める者もいる。
店を転々としても構わないし、どの店にも入らずただぶらついていてもいい。

やがてどこかの店に決めなくてはいけない時期が来る。
渋谷から去る者もいる。
締切が近づきまだ決められなかったら、専門店よりもデパートのような店に入っておく。

たまたま東急ハンズにでも入ったとする。
ほっとしたのも束の間、徐々にフロアやセクションの絞り込みが始まる。
4年くらい経つと、仲間はレジを済ませてどんどん減っていく。
みんなどうやって見つけていくのだろう。

なんとなく気になる売り場がある。
そこに集まっている人とは不思議と話が合う。
聞けば子どもの頃から、この売り場だけに通い詰めている人もいるらしい。

手にとってはみるが、まだ買うには早いような気がする。
店員さんの薀蓄に感心する。
作った人のことが知りたくなってくる。

店で見たものをヒントに、素材やデザインを変えてオリジナルを作ったり、職人に会いに行ったり、その後はいろいろ。
運がよければ店頭に並ぶ商品を作る側に回る。

…の、ガクモン版がPhDという課程じゃないかな。
人によってはサンタの時点で“~”を確信している、なんてこともあるようだけど。

ほとんどの人には時間や予算の制限があるので、早めに“買物”を切り上げざるを得ない。
さらに、“~”を必要とする人はそう多くない。
それだけのこと。
伝わるかなぁ?

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