K教授ふたたび

今学期は不在のはずのK教授のオフィスへ。

どうやら進学の可能性が濃厚になってきたので、アドバイザー(和訳は“指導教官”らしい)であるK教授に推薦状のお伺いメールをしてみた。

本来はアポを取って、オフィスでお話しすべきことなのだろうが、ヨーロッパにいるらしいのでしょうがない。
そもそもそのために、M教授F教授→B教授と、遠回りをすることになったのだ。

「私は忙しい」が口癖で、学生の世話は嫌いで有名なK教授。
志のある学生のためなら力になってくださるだろうけど、私はまだ相談段階で意志はふにゃふにゃ。
メールで済ます口実があってよかったかも。

翌日返事が来た。
「来週少し時間があるのでオフィスに来なさい」。
え?ヨーロッパの?
…なわけない。
つい先日帰国されたそうだ。

うわわわわ。
やばい。
オフィスで何を話す?
…と考えている余裕など、ファイナルの合間にあるはずもなく、アポイントの日になってしまった。

emi: お久しぶりです。
K: 今学期はどうだった?
emi: 15単位を取ったのでとても忙しくしていました。
K: 進学を考えているんだね。
emi: えー、まだ決心はしていないのですが…。

「決まってから来い。私の時間を無駄にするな」と言われてもおかしくない雰囲気なのだけど、本当だから仕方がない。

“勉強したいこと”と“するとどうなる(と思う)”を、何とか説明する。

K: ふむ。それで?なぜ2つめの修士が必要なんだ?
emi: 必要というわけではないのですが…
K: なぜ博士ではいけない?
emi: いけないなんてことはありません。
K: じゃあなぜ博士にしない?

んー。だってぇ…。
他の教授には「私には無理ですよぉ」と軽く言えるけど、K教授はそういうキャラじゃない。
でも本当だから仕方がない。
言い方だけ変えてみよう。

emi: 私はそんな器ではないと思います。

すると待っていたかのように「そう言うと思った!」。

K: 1年前、修士を始める前にここへ来た時とまったく同じことを言っている。デジャブだ。

にやっと笑われた。

1月、不安いっぱいの留学生がオフィスを訪れ、規定の12単位も荷が重すぎると言うので、9単位に削る特別許可を出してやった。
いまにも挫折して帰国しそうだった。

それが今や15単位を取って、まだ勉強したいことがあると言ってきた。

そういう背景があるので、どんなに不安を訴えても、K教授はもう聞く耳を持たない。
「2つめの修士はここで学んだことの焼き直しになる。無駄だ。」ときっぱり。

「自分のところに来れば、やりたいことは全部できる」。
「キミの研究イメージはまだぼんやりしているが、最初は誰でもそういうもんだ」。
K教授の授業につきものの“まる”も登場し、博士課程の概要を具体的に説明してくださった。

修士の単位を全て振り替えてくださるので、時間もかなり短縮できると言う。
「いいことばかり並べるのはフェアじゃないので念のため言っておくが、私は厳しいぞ」とも。
いや、だからまだ決心してないんですってば。

身を乗り出して熱く語るK教授を止めることはできず、私は授業に20分ほど遅刻。
「年明けにもう一度オフィスに来なさい」とまで言われ、「休み中によく考えてきます」と答えるしかなかった。

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