直行便

超いまさらながら、直行便ってすごい。

いつものように着席とともに眠りに落ち、いつものように目が覚めたらすでに空を飛んでいた。
いつもどおりなら、そろそろ飲み物が来るタイミング。
が、いつもと違って、着陸態勢に入っていた。
10時間ぐっすり眠っていたのでも、知らないうちに太平洋とアメリカ大陸がちっちゃくなっていたのでもなかった。

出発空港へ引き返し。
で、なんだかんだで遅れて、到着した空港では乗継便に間に合わなくて、近くで一泊。

ま、私としてはよくあることだから心理的にも物質的にも用意があるし、ホテルは好きだし、どこにいても仕事はできるし、なんならひとかたまりで長時間の移動をするより、途中で休憩を入れて翌日に日帰り感覚で帰宅できるのはありがたいぐらいでもある。
事実、予定では夜遅くの帰宅だったところ、それより早くベッドに入ってしっかり休めたし、翌日は身軽に移動して、帰宅後には買い物や洗濯や掃除などを一挙に片づけることもできた。

たとえば割り当てられた代替便が早朝+遠回りだったら、カウンターで交渉してより条件の良い便に換えてもらうこともできる。
シャトルバス乗り場がわかりにくくても、バスがなかなか来なくても、そのへんにいる人に聞いたり、ホテルに電話をしたりもできる。
ようやく来たバスに乗ってホテルのフロントにたどり着き、「あぁ、これねー、ミスなんだよね。うちの名前になってるけどうちじゃなくて、他のホテルなんですよ」と言われても慌てもしないし、腹も立たない。
食事クーポンをきっちり使って、夕食も翌日のランチもゆったり食べられる。
ホテルではバスタブに温泉の素を入れて、のんびりお風呂を楽しめる。

でも、それもこれも、勝手知ったるアメリカだから可能なのであってさ。
言語や文化を知らない土地だったら、無理よ。
長時間のフライト疲れがドッと出て、理不尽にイライラしたり、不安になったり焦ったりするのかもしれない。

それで気づいた。
そうか、だから直行便なのか。

この春は両親のお供をしたおかげで、初めて日本→ニューヨークの直行便に乗った。
機内は日本人だらけ、日本語で日本の食べ物、日本式のサービス。
心なしか、入国審査も甘かったような気がする。
乗り継がないので、機内で使った液体類などを再度きっちりしまうこともなく、すぐにシャバに出られる。
空港内をウロウロすることもないし、仮に遅れがあってもただの遅刻で済むわけで、それ以上の影響が出ない。
なんというか、いつもに比べて、もうすべてが劇的に簡単なのだ。

日本→アメリカの移動を、私はこれまでに何度したのかわからないが、あんなにあっけなく外国に入る方法があったとは。
知らなかったよ。

で、なんで知らなかったのか考えてみた。
答えはいたって単純で、日本からの直行便が飛ぶ街に住んだことがないからだった。
たとえばニューヨークシティなんかで外に出ちゃって、そこから荷物を抱えてバスや電車で移動するのは、乗り継いで最寄りの空港へ荷物ごと運んでもらうよりずっと大変。
そうか、ということはつまり「日本から直行便があるかどうかを基準に住む場所を選ぶ」ってのはかなりアリなんだな。
2001年と2005年の私に教えてあげたいよ。

乗り継ぎ移動の経験を重ねすぎたせいか、どうやら私は「外国に行く」と「乗り継ぎ」をセットで考えているようだ。
そういえばヨーロッパに行くときも、なんの疑いもなく普通に乗り継ぎを選んじゃってたな。
直行便しか乗らないとなると行き先が限られてくるだろうけど、今後は「選べるんだったら直行便を優先的に選ぶ」ぐらいのことはしようかな。

ついでに言うと、私は自分がどこで乗り継ぐのか、チェックインまで知らない。
予約の時点でもあんまり見てない。
「フライトを予約した」と言うと、よく家族や友人にどこ経由か聞かれるが、「さぁ。たぶんアメリカの真ん中へんじゃない?」という具合。
だって、全体の所要時間を基準に予約すれば、飛ぶ時間と待ち時間はだいたい決まるし、行き先がどこだろうと、私が操縦するわけじゃないから関係ないじゃんね。
当日チケットを見て、「おぉ、今日はここへ行くのか」という感じ。
行き先によって、乗ってる人とか機内のムードとかが違うので、経由地はコロコロ変わった方がおもしろい。

そうか、直行便になるとそのおもしろさはなくなるのか。
うーん、じゃあ、ま、やっぱ乗り継ぎでいっかな。

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