師匠

師匠の変化について。

師匠主催のセミナーに出席。
主なプログラムは、師匠の力添えによってアメリカで学ぶ機会を得ている外国人のvisiting scholar(客員研究員)3名の研究発表。
2人めまでは何事もなく過ぎたのだが、3人めで問題発生。
雲行きは発表序盤から怪しかったのだが、まだアメリカに来て1ヶ月ぐらいしか経ってないし、文化の違いもあるし、なによりみんな大人なので黙って見守っていた。
が、「こ、これが延々と続くのか」と聴衆が感づき、そわそわしだしたあたりから、会場の空気はどんどん悪くなっていった。

英語自体は、まぁクセは強いけど上手な方だと思う。
立派な肩書をお持ちなので、母国ではこのやり方で通用しているのだと思う。
見た目の似ている近所の国出身者として、背景はわからなくもないが、それだけに辛いものもある。

これ、弟子がやらかしたんだったら、師匠はとっくにブチ切れていただろう。
というか、事前にスライドを提出させて、「私の顔に泥を塗る気か」とコテンパンにやって、前日までにすっかり修正させていただろう。
一人前の学者を相手に同じことはできないから、本番でこういうことになって、驚きつつも、声を上げたい衝動を抑えているに違いない。
師匠もオトナになったなぁ。

「ちょっと待て、なぜそれが言える?」
あ。
「それからそこの数字、これが何を示すかも聞かされていないのに、どう読み取れというのだ?」
あ、あ。
「そもそもこのデータだが、このresearch questionに対してなぜこれを提示した?」
あ、あ、あ。
変わったかと思ったけど、そうでもなかった。
発表者の立場を守るより、セミナーの質や聴衆の時間を尊重することを選んだのだろう。
こうなったら師匠は止まらない。
聴衆からも質問が相次ぎ、まぁそれなりにちょっとした雰囲気になった。

しかし一段落すると、師匠は「感情を抑えられず申し訳なかった。」
お?
「あくまでも君の研究の改善につながればと思ってのことだ。攻撃だとは思わないでくれ。」
おぉぉ、やっぱり変わったんじゃないかなぁ。

セミナー後は私のアポ。
書類と本の山をかき分けながら、私へのフィードバック資料を探している。
あいかわらず。
このオフィス、すっきり整理整頓されたこともあったんだけどなぁ。(参照

ミーティングが始まってまもなく、ドアのところに男性のアメリカ人学生の姿が。
師匠は話を止め、「何の用だ」。
このとりあえず威嚇する感じ、あいかわらず。
「えぇと、あのー、TESOLの免許を取りたくて、Cに聞いたらここへ行けと言われたんですけど、お忙しいようなら出直します」と言う学生に、「私は明日から不在だから、いま簡潔に話せ。」
学生から情報を聞き取り、「それならこっちのプログラムだろう。Cは関係がない。あとのことはメールで質問してきなさい。」と親切対応。
おぉぉ、さすが大先生って感じ。
偉い人だなぁ。

学生が丁寧にお礼を言って去ったと同時に、「まったく、学部の連中は誰ひとりプログラムのことを理解できていない。なんにもわかってないのに適当に案内してああやって学生をよこすんだ。何年かかっても、何度説明しても、ひとっつも覚えない。馬鹿げている。」
あぁぁ、あいかわらず。

毎度のことながらクビ覚悟で臨んだミーティングは、意外とマイルドに終了。
「自分で決めればいい」「任せる」「君の状況次第だ」。
うーむ。このへんにもちょっと変化があるよなぁ。

終了後、私を追い出しつつ、入れ替わりで次のアポである妹弟子を呼びつけながら、「そうだ、お前たち、あの研究倫理の、更新のトレーニングは受けたか」。
私が「はい、去年の終わりに…」と返事しかけたのを遮って、「私は昨日あれに無駄な時間をたっぷりとられた。わかりきったくだらない質問ばかり、その連続に耐えさせられたんだ。おかげで血圧が200まで上がった。まったくバカバカしい。」
あぁぁ、あいかわらず。

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