“Look at me”

「誤訳だ誤訳だ」と騒ぐほどのことじゃないと思うよ?

01 Press1: So:ri  [kochira (onegai shi) ma:s,
02 Press2:   [((inaudible)) ma::s,
03 A: ((laugh))
04 T: ((laugh)) W(h)hat did they say.
05 A: ((laugh)) Please.
06(0.8)
07 A: Look at me.
08 T: Ah.
09 ((T looks at A))
10 A: ((laugh))
11 ((T keeps looking at A))
12 A: ((point at press)) °(Look.)°

Tの求め(04)に応じて、Aは情報を提供し(05-7)、Tはそれに対し言語的(08)および非言語的に(09)理解を示している。
TがAを見つめ続けている(11)のは、通常なら標準的でない行為だが、この場面では、たとえば撮影に必要な時間を考慮し、通常より長めに状態をキープするということがあってもおかしくないと考えられる。
Aは指差しと発話によってTの理解の修正を促している(12)。

このくらいの「いやいや、そうじゃなくて」ってなこと、よくあるじゃん。
ミスコミュニケーションの一例には違いないけど、私としては、まぁ普通。
たいしたこっちゃない。
日本人の英語会話には、もっとたいしたことが、日々いっぱい起きてるからね。

仮に、AさんがうちのCoacheeだったら。
まず本人に文字起こしをしてもらって。
どこがどうなってるか、気づいているか、確認。
たとえば「05-7で、自分が訳を間違えたのがいけなかった」と言ったとすると、コーチはどう応えるか。

私なら、「それはどうでしょう」と言うと思う。
で、直接話法と間接話法を知っているか、知っていればどう理解しているか、話してもらう。
04の質問 “What did they say?”に対する答え方として、まず”say”を使って返すとどうなるか、考えてもらう。
引用符の使い方について確認する。
「…というわけで、悪くないと思いますよ?」ということをしっかり伝え、納得してもらう。
こんなことはよくあること。たいしたこっちゃない。

次に、応用編として、”tell”や”ask”を使うとどうなるか、考えてもらう。
ちなみに、”Look at”の後ろに、人以外を持ってくるとすると、何が適当か、考えてもらう。
ここまでで、言語的な話は一段落。

それから、コミュニケーションの話に入る。
たとえば05-7と同じ内容を”They want us…”など、他の文のかたちで伝えるとどうか、考えてもらう。
05で声が落ちているところ、その後の間(06)が影響した可能性についても触れたい。
「この部分、相手にはどう聞こえたと思いますか?」
「日本語で話すときにも、こうやって文を分断しちゃったり、まだ終わってないのに終わったかのように聞こえてしまうところがあるんじゃないですか?」
「日本語での話し方のクセが、英語に表れてませんか?」

そして、10-11あたりで「オヤ」と思ったであろう後の、12。
文字起こし的には、いちおう「Look」にしてあるけど、ここ、はっきり言えてない。
「どう言えばいいかな」って、迷っちゃったのかもしれない。
緊張もあったかもね。
なんにせよ、せっかく何か言うなら、特にこの雑音の多い状況では、もっとはっきり言ったほうがいいよね。

で、仮になんて言っていいかわからなかったとして、非言語の方はどうか見ていく。
「この手の動き、自分で見て、どうです?」
「Tさんに伝わってないの、わかります?」
ここが伝わっていたら、例のあの表情にはならなかったんじゃないかな。

やりとりの中で、問題が起きるのはしょうがない。
相手のあることだしね。
でも対処の仕方は、他にあったんじゃないかな。

そこでKEC名物、「もう一度チャンスがあったら、どうする?」。
しっかり考えて、複数の表現を出してもらう。
口の動きを意識しながらはっきり発音し、自分の耳でそれを聞く。
たとえ緊張していてもスルッと出るように、何度か繰り返し言ってみて、脳に定着させる。
そこまで整ったら、おさらいのロールプレイ。

反省はしてもいいけど、あまり自分を責めすぎないこと。
「誤訳だ誤訳だ」と騒ぐ人たちのことは、気にしないこと。
次の機会に向けて準備ができさえすれば、それでいい。
そんなことを伝えて、おしまい、かな。

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