コネタ

あ。
書こうと思って忘れてたコネタがあったことを思い出した。

旅の途中でフライトの変更があり、空港近くのホテルを手配してもらった時のこと。
シャトル乗り場へ行くと、さすが大きな空港だけあって、ホテル行きや駐車場行きのバスやバンがひっきりなしに出入りし、大勢の人が動いていて全体的にわらわらしている。
航空会社のクルーや常連客などごく一部を除いて、私を含むほとんどの人は初めてこのシャトル乗り場にいるので、とりあえずウロウロし、やがてどこかに場所を定めて、スーツケースにもたれながら待つ、ということになる。

指定されたホテルに電話してみると、「1番乗り場で待ってろ」と言われた。
どうやらシャトルごとにだいたいの停車位置が決まっているらしい。
が、実際には前が詰まっていたりして、予定の位置に停まれるとは限らない。
客は、車が通るたびに、期待を込めてボディに書かれたホテル名をチェックする。
チェーンのホテルが多いので、「そうかなと思ったら違った」という目に繰り返し遭う。
そのため、シャトルの運転手は、予定の停車場所のなるべく近くまで攻め込んで、手前または行き過ぎたあたりに車を停めると、運転席から降りてきてホテル名を叫ぶ。
シャトルは1台逃すと次のが来るまで30分から1時間ぐらい待つことにもなるので、目と耳を働かせて、来たものはちゃんと捕まえなければならない。
ここにいる誰もが飛行機から降りたところ、多くは急な変更で宿泊を余儀なくされた人たち。
日本から飛んできた私もじわじわと長時間のフライトの疲れが出てくる。
西日がまぶしく、蒸し暑く、排気ガスの臭いが充満している。
そんなわけで、周囲は騒々しさと緊張感と不機嫌が交じり合い、誰もが一刻も早くこの場から去りたいと思っている様子だった。

座って待っていると、すぐ前に1台のシャトルが停まった。
チラッと見て、ボディの色からして私の泊まるホテルの車ではなかったので、視線を外す。
視界の端に、運転手が降りてくる気配。
ぽっちゃりめの、ヒゲのおじさん。
大声でホテル名を叫ぶ。

「Renaissaaaaaaaaaaance!」

ウソでしょ。
あぁ、こんな時、他に日本人がいたら、一緒に爆笑できただろうに。
「発音、ネイティブやないかーい」って、ワイングラスを片手に、乾杯できただろうに。
惜しい。

おかげでストレス満載な状況の中、私は一人だけ和むことができた。
その後まもなくして目的のシャトルが来たので、ホテルに着いたらこの出来事を書き留めようと思っていたのだけど、今日まで忘れてたのでした。

ちなみにRenaissance Hotelは世界中にある有名チェーン(参照)。
ヒゲのおじさんが叫んだのを無理やりカタカナにするなら「レネサーーーーンス」。
英語発音では、アクセントは「ソに近いサ」にあるので、叫び方としてごく自然である。
ところが日本語のアクセントでは「ネ」が高くて、さらに「ッ」が入ることがあって、「ルネッ\サンス」。
本来、非常に叫びにくい語のはずだ。
あのギャグは、よりにもよって下がりどころの「サ」を強引に高くすることで、母音を伸ばし、叫ぶことを可能にしていたのか。
複雑ぅ。
日本語学習者には厳しいだろうなぁ。

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