職場訪問

友人たちにガイドをお願いしての職場訪問×2 in Boston。

まずはH大学医学大学院。
久しぶりに会ったKさんは見た目には全然変わらないけど、会わないうちにPhDになり、お父さんになり、ボストン人になり、働く人になっていた。
むしろそんなすごい変化を経て、全然変わらないってとこがすごいんでしょうな。
Kさんが見せてくれた、すごい機械たちと同じ。
「どどーーん」で「どうだー」な機械は、実はそんなにすごくない。
一方、世界中の研究所をまわってもなかなかお目にかかれないという、超高級で超高度で超高性能な機械ほど、見た目には「え、これが?」ってなことになってたりする。
ニクイね。

Kさんはあいかわらず日本語が上手で説明が上手で、気配りの人。
私がオフィス横で淹れてもらったコーヒーを片手に、小学校の理科以下の質問を遠慮なくぶつけても、びくともしない。
さすが、日本の子どもたちの憧れの先生だなぁ。
「食うに困ったら日本で塾を開く」というその日が来たら(来ないけど)、日本の教育的には大変大変ありがたい。

なにやらを培養している部屋が「37度に保たれている」というので、「あれ?摂氏を使ってるの?」と聞いたら、そうなんだって。
この業界はメートル法も使ってるんだって。
ポケモンGOで初めてメートル法に出会って戸惑っているアメリカ人の皆さん(参照)、ここで働けば5kmがどのくらいの距離か、わかるようになるかもよ。

翌日はM大学メディアラボ。
前回Yさんと会ったのはNYCからの引越直前。
赴任前の不安やモヤモヤが完全に払拭されたわけではなさそうだけど、やっぱり今はちゃんと「中の人」の顔ができている。
たいしたもんだ。

ここの研究内容やオフィスの様子は、TEDに関わっているおかげもあって、割と見覚えのあるものや聞き覚えのある人名が多かった。
よそ者が見学できる範囲のものは、ネット等を通じて入ってくる情報でほぼカバーできるということだろう。
もちろん、そのあたりのバリアを取っ払う取り組みこそがこの研究所の真骨頂なのだろうし、プレゼン上手、営業上手のお家芸みたいなところでもあるのだろう。
そして、その感じは実際に行ってみて初めて確認できるものだから、そこに見学する価値があるわけで、「行ってみたら、やっぱり行く前の印象どおりだった」という点も、リアルとバーチャルが絶妙に交わっている表れなのだと思う。

いろんな境界が融け合う中に、もちろん教育もかなりの分量で入っていて、それなりに話についていけそうな部分もあるにはあるのだけど、たとえば私がここでものすごく何かに目覚めたりするかと問われたら、個人的にはそうならないような気がした。
やっぱり私にはモノのセンスがなくて、「あるモノで賄う」というタイプだから、新しいモノをどんどん生みだすことにあんまり興味がないんだろうな。
私はたとえば紙と鉛筆があれば、原っぱなら棒でもあれば、あるいは何もなくても、そこに学習者がいてくれさえすればどこでも教室になると思っている。
そして私の興味は、その限定された条件下でいかに学習効果を最大化するか、それを可能にする技術を私自身が身につけているかどうか、というところにある。
もちろん道具はあるに越したことないし、こうして新しいモノが作られているという現実から離れず、情報を常にキャッチして、学習者のためにより良い環境を整備したり、自分自身がいつでも利用できるように腕を磨いたりしておくことは重要。
開発や販売には向かなくても、practitionerとして、良き理解者、賢い消費者でいる必要はずっとある。
やることはいっぱいある。
それが確認できたのも、今回の見学による大きな収穫だった。

KさんもYさんも、出会ったころから「すごいなぁ」な人たちだったけど、今後はますますその「すごいなぁ」のレベルを上げていく。
それぞれの職場ですれ違う人たちとのちょっとしたやりとりからも、彼らが自分の居場所をきちんと築いていることが感じられた。
この人たちと知り合えただけでも、私はアメリカに来た甲斐があったよ。
心優しい友人たちは、もう何をやってんだかわからない私のような者にも「自分が研究にかけた時間や労力には、膨大な価値があると認めるべき」「他の人がやってないことをやってるんだから、ちゃんと世に出した方がいい」と、温かい言葉をかけてくれた。

いつもは「すごいなぁ」と同時に我が身を振り返って凹んでしまう私だけど、今回の見学は不思議なことに、ただただ「私もがんばろう」という気になれた。
ありがたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です