教育風ビジネス

教育と教育風ビジネス。
これを見分ける方法を、護身術として教えたらどうかしら。

カネ儲けのために似て非なることをしている人によく会う。
“英語教育”の世界でも“コーチング”の世界でも。
嫌いだから見つけやすいんだよね。
タマネギ嫌いの人は、みじん切りにしてもすりおろしても、ごまかされることなくきっちり見破るもんね。

統計をとったわけじゃないし、カネ儲けしたい人たちは宣伝が上手く、声が大きくて印象に残りやすいから、実際より多めに見えている可能性はある。
が、いずれにしても感覚的には、その目的でやっている人の方が多いように、あるいはそれ以外の目的はあり得ないようにさえ見える。

何度も言うが、私は他人のビジネスを非難するつもりはない。
他の人がカネ儲けや自己顕示や寂しさを埋めるために何をしようとご自由にどうぞ、なのである。
お金を作るのも成功するのも簡単ではないから、それを成し遂げた人に対しては心から「すごいね」と思う。
できれば私の近所でやるのはやめていただきたいなと思うけど、それも自由だからしょうがない。

だから“英語教育”や“コーチング”をビジネスとしてやっている人を止めることも敵視することもないし、それらのサービスにお金を使う人を止めることもしない。
ただ、教育と偽って、あるいは勘違いして、あるいは勘違いしたフリをして、カネ儲けのためのビジネスを展開するのはモラルとしていかがなものかと思う。
少なくともみっともないと思う。
学習者を惑わせるのは迷惑だとも思う。

教育と教育風ビジネス。
私はこの2つをまったく別のものだと思っている。
ただ、たとえば学習者など、一般の人たちがこれを見分けるというのはとても難しいと思う。

実際、“中の人”でもうっかり見誤ることがよくある。
やっていることの名称が似ているため、ビジネス側の人から仲間と間違えられることがある。
だから「一緒にやりましょう」と儲け話を持ち掛けられたり、「ノリが悪い」と舌打ちされたりするのである。

ビジネス側の人たちは自分たちと異なるマインドセットの人が存在するという想像が苦手のようである。
とはいえ、あまりはっきりと「一緒にしないでください」なんて言ってしまってご気分を害されてはよくないし、きちんと説明して“非難”と捉えられても不本意なので、できるだけやんわりと、できるだけ手短に事を済ませて、できるだけ距離を置くようにしている。

幸い私にはRをはじめとする言語コーチ仲間や、家族や、他の分野で「XX風ビジネス」との折り合いをつけたり、「XX風ビジネス」と「消費者」の間でどうにかしようと努力している友人たちがいる。
私は教育風ビジネスに巻き込まれそうになるたび、彼らに話を聞いてもらい、笑い話にしてもらいながら「次回はこうしよう」という対策を考える。
仮に、この友人たちのような人を「原理派」、「XX風ビジネス」を推進している人たちを「応用派」と呼んでおこう。
念のため断っておくが、どっちが良いとか悪いとか、優とか劣とかいう話ではない。

「原理派」は、“中の人”のうち、本当のそもそものところを実現したい人たちである。
カネや自己顕示とは縁がない。
彼らに共通する課題はアピールが下手で、「応用派」との違いが見えているくせに、それをうまく示して人々に伝える方法を持っていない。
地味。
他と比べず、自己満足に徹する点は強みではあるが、それは裏を返せば競争心に欠け、数を取り込む力に欠けている。
「そのうちわかってもらえる」と悠長なことを言い、「細ぼそと」「物好きにも」他の人がやらないことをやり、「わざわざ宣伝するほどのことじゃない」「わかってもらえないならしょうがない」と言い訳してアピールすることから逃げようとする。

これらの「原理派」の弱点のすべてを得意とするのが華やかな「応用派」である。
「XX風ビジネス」は短時間の大量生産が可能で、利用方法も簡単なので、使い手の技術を問わず、誰にでもすぐに始められる。
単純化した内容で、キャッチーなキーワードを並べ、感覚的な宣伝を大々的に打ち、「消費者」の心をつかみ、注目を集め、キラキラ輝いて、さらに多くの注目を集める。
カネも集まる。

それぞれが、それぞれに満足するやり方でやっているのは別に構わない。
ただ、ね。
「原理派」のみなさんは重い腰を上げて、説明やアピールに対する姿勢を改善した方がいいかもしれない。
自分のためには頑張れなくても、大事な学習者や子どもや患者のためなら頑張れるでしょ?

たとえば「原理派」がどうやって自分たちと「応用派」を見分けているか知らせるだけでも、見分けられなくて困っている人たちのリテラシーを向上させ、意に反して「消費者」にされてしまった人たちを助けることになるかもしれないよ。
見分けるコツがわかれば、「二の足」さん(参照)たちにも少しずつ判断力や瞬発力、行動力がついてくるかもよ。

一般の人たちは見分けた上で、自分の好みや目的に応じて選択すればいい。
知らずにふらふらと誘導されるのは危険。
その意味で、「XX」と「XX風ビジネス」を見分けることは情報社会における護身術のようなものだと思う。
Critical Thinking の離乳食バージョンというか。

手始めに、私の考える「英語教育」と「英語教育風ビジネス」を見分けるポイントをざっと並べてみようか。

  • 興味の中心は「質」か「数・数字」か。
  • 常に新しい情報を取り入れているか、古い情報を使い続けているか。
  • 「入口で覚悟をさせられ出口で喜ばれる」か、「入口で大歓迎され出口で引き止められる」か。
  • 「学習者」と見ているか、「お客さん」と見ているか。
  • 関係が深いのはプロとして刺激し合える「同業者」や「同志」か、利益が同一線上にある「提携業者」か。
  • 権威に対して「批判的」か「賞賛的」か。
  • 学習者のために他のサービスを推薦したり、サービス停止を含む方向転換を提案したりすることがあるか、
    自社の良さを強調して学習者を説得し、問題を先送りするか。
  • 自信をつけさせるか、不安をあおるか。
  • 依存や思考停止を断ち切らせようとするか、続けさせるか。
  • カネの切れ目が縁の切れ目になるか、ならないか。
  • 一般の人が違いを見分けられるようになるとやりやすくなるか、やりにくくなるか。

他にもまだまだありそうだなぁ。
「原理派」のみなさん、分野に関わらず、一緒にリストを作ってみませんか?

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