交友関係とか、付き合いの範囲とか、出会いとか、視野とか経験とか。


「交友関係が幅広いですね」と言われることがある。
が、私にそんな自覚はない。
みんな、こんなもんなんじゃないの?
有名な人だったらもっとずっと幅広いでしょ。

と、思ったんだけど、よく考えるとそれは違うのかも。
有名な人は知り合いの数が多いし、それ以上に一方的に“知られてる”ことが多いけど、こと「交友関係」となると、そう幅広いものじゃないみたい。
実は似たもの同士、同じ顔合わせでいることが多い。

そういう意味で、日々大勢の人と交流して“お友達”が何千人もいるような人も、他人との接触を最小限に抑えているような人も、数の上では圧倒的な差があるわりに、その周りにいる人たちのカラーというか種類というか、質的な面ではある単色の中にすべてが収まってしまう場合が多いように思う。
それが「幅」だとすると、ほとんどの人の交友関係は「幅狭い」ということになるだろうか。

たとえば恵まれた環境でバリバリ活躍し、夢を持ち、希望に燃え、理想を追っているAさんの世界には、同じような人ばかりが住んでいる。
自分と同じように“輝く”人を増やそうと働きかける場合もある。
働きかけが度を越しているなと思ったときに「でもさぁ、頑張れないヤツもいるんだよ」と言っても、「いや、チャンスさえ与えればきっと頑張れる」と言って聞かない。
「不可能なんてない」と信じて疑わない。

一方、何をやっても長続きせず、満足感が持てず、変わりたいと思いながらも変われないBさんの世界には、同じような人ばかりが住んでいる。
「これやってみたら?」と具体的な機会を与えても、「どうせうまくいかない」と初めからあきらめたり、「やってみます!」と返事するだけで、やらなかったり。
中には「頑張ったってしょうがない」「やるだけ無駄」という信念がある人もいる。

Aさんの世界とBさんの世界が交わることはあまりない。
「住む世界が違う」というのはそういう意味なんだと思う。
両者の世界をつなごうとしてみたところで、「やめてくれ」と拒絶されるか、「ま、こちらは構いませんが、あちらがどう思われるか」
とかなんとかで、やんわり断られる。
「幅」を広げるのは怖いことでもあるのかもしれない。

また、「幅」は広げるより狭める方が容易いようだ。
さまざまな興味を持ち、いろんな人と関わり、積極的に見聞を広めていた人と久しぶりに再会して、ずいぶんと「幅」を狭くされたなと感じることがある。
「幅」を広げるには体力以上に気力が必要なので、広げることを好んで実行していた経験のある人でも、長く続けていくのは難しいのだろう。
脳は繰り返しがお好きで、類は友をつい呼んじゃうのだ。

私自身は「幅」にあまり興味がないし、広いからどうってこともないでしょと思うけど、一般的には「幅が広い」というのは褒め言葉のようである。
となると、「幅広い」に憧れのようなものを持つ人も出てくる。
寂しがりやで自己評価が高いタイプの人は、「自分って幅広い!」と喜びやすいところがあるが、それは似た者が集まっている自分の世界の住民と比べての、ごく小さな世界での相対評価である場合が多く、実は「狭さ」を露呈していることになりかねない。

実際のところ、私の「幅」がどんな具合なのかは自分でもよくわからない。
「幅広い」と思われることがあるのは事実だが、それはひとえに、私の所属があいまいだからである。
とほほ。

私はAさんの世界とBさんの世界を含む複数の世界に、永住には向かない質素な仮住まいを持ち、「Xのようでもあり、Xでないようでもある」
「Yの部分もあるが、Yでない部分もある」というようなはっきりしない性質を持っているのだと思う。
だからAさんともBさんとも、XともYとも関係ができる。

その結果、「リーダーと協力者」「協力者と非協力者」「前向きと後ろ向き」「善良と邪悪」「進化と退化」「未熟と熟達」「理論と実践」「研究と現場」「日本とアメリカ」「日本語と英語」など、いろんな白と黒の間の、グレーの濃淡の間を、どこに留まるでもなく、行き来するようなことになっている。

考えてみるとこれはかなり厄介なことだ。
ははぁ。
だから多くの人はやらないのか。
やらないようにしてるから、そうなっている人が少なくて、少ないから価値が高いように勘違いされてるのかもね。

良い子はマネしないでね。
ってか、自然にしていたら「幅」は狭くなるようにできているから、おかしな動きさえしなければ、大丈夫。

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