Minimalist

「テキトーにやる」というのを体験してみる。

興味のないことにはいっさい手を出さないし、嫌いなことを我慢してやることもない。
さほどやりたくないのに、誰かに合わせてやることも、やらないのに頭の片隅にいつまでも置いておくことも、やらなかったことを後悔することもない。
(やんなかったことは忘れちゃうからね。)

やらなきゃいけないことは、やる。
片づくものはなるべく早く片づける。
(やっとかないと忘れちゃうからね。)
すぐに片づかないもので、やると決めたことはとことんやる。
あとはもう自己満足の世界。

やるならやる、やらないならやらない。
0か100か。
合格ラインや平均点などの相対的な評価は無視。
そういうタイプの人がもっとも苦手とするのは「ほどほどにやる」「いちおうやる」「中途半端にやる」。
たとえば合格点が50点なら55点ぐらいの線でずーっと行く。
特にがんばりもしないし、だからと言って途中でやめもしない。

それは好みじゃないし、やるからにはちゃんとやりたくなっちゃうし、そんなやり方ならやらない方がマシじゃないかと思うんだけど、どうやら世の中にはそのやり方がそれなりに普及しているようだし、私にもそういう経験が必要かもしれないな、と思った。
私の周りには時々、「見えない、聞こえない、気づかない、知らない、でもぜんぜん平気」というツワモノが現れて、驚愕の言動を目の当たりにしたりするのだが、そういう人たちに少し興味がわいてきたのかもしれない。

ちょうど8月から受講を始めたMOOC があったので、「テキトーにやる」というのを隠れテーマに据えてみた。
読み物はざっくり読み、深追いしない。
ディスカッションにはいちおう参加するが、あまり熱をこめない。
課題は最低条件を押さえるだけでよしとする。
他の人ががんばっているのを横目に、その影響を受けない。
存在感はないまま、それでいて消えもしない。

当たり前だけど、苦手なことをやるって厳しい。
つい読み込みそうになったり、つい深く考えたりしたくなる自分を「いかんいかん」と制し、極力サラッとやり過ごす。
余力を残したまま、閉じる。
書き終えたら見直しせず、1日寝かせたりもせず、即提出。
うむむー。
勇気が要る。
あの大胆な人たちは、こういうことをやってケロッとしているわけか。
すごいなぁ。

そうやって、「んんー、本当はまだ足りないけど」とか、「えぇい、出しちゃえ」とか「はい、終わり終わり」とか、あえてジレンマを寄せるようなことを週に一度、10回繰り返した。
ドMな私の人体実験。
良い子はマネしないでね。

最終課題のPeer Assessment ではこんな評価をもらった。
Although the activity provides the required information, it feels like a minimalist approach. More details would have made it excellent.
ま、いわばしてやったりの結果。
こうして新しい私が開拓された。
体がねじれそうな思いに負けず、テキトーを貫いた甲斐があったよ。
狙いどおりという意味では100点満点(ダメじゃん)。

もちろんこのやり方では私の研究や仕事や、その他いろんなことが回っていかなくなるし、今後はこれで行こうと思うほど良いとは思えないし、むしろこれが癖になっては困ると思うけど、試してみたのはよかったと思う。
労力を惜しみ、サービス精神を封印し、自分の時間やエネルギーを節約するというのがどういうことか、少しわかった気がする。

その上で、やはりこのタイプの人には、深く思考したり、グッと集中したり、長く強いこだわりを保ったり、自分を高めていく努力を続けることはできないんだろうなと思う。
テキトーにできるということは、広く浅く、薄く、数多く、疲れず、楽しくこなすためには有効だが、それに慣れてしまうことは、少なくとも今の私には恐ろしく感じられる。
身体で言うならアゴや足腰が弱っていくようなことが、脳または心、つまり感覚や感情に起きてくる気がする。
もちろんその方が気楽で良いと思う人はいるだろうし、それはそれで構わないけど、ね。

このテキトーを身につけると、映画や美術館をハシゴしたり、速読や斜め読みをしたり、多数のことに同時進行で関わったり、さほど興味のない場にもこまめに顔を出したり、やりかけで放り出したり、急に計画を変えたり、矛盾やいいかげんな約束を使いこなしたり、いろんなことができるようになるんだろうけどね。
精神的にも肉体的にも健康で、幸せなのかもしれないけどね。
私に限っては、失うものの方が多いみたい。

とはいえ、受講生の90-95%がDropout するというMOOC において、きちんと修了しちゃってるわけなので、これはテキトーとは言えないかもな。
テキトー的模範解答は「登録したけどやんない」だったんじゃないかと、終わってから気づく。
時すでに遅し。
とほほ。

とにもかくにも、向いてないんだな。
残念。

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