旅立ち

大切な友人の旅立ちのとき。

震災後の支援活動を通じて出会い、募金イベントを手伝ってもらったことから仲良くなった彼女。
以来、同じ日本人留学生、同じ博士課程の学生として、彼女と私は付かず離れずの良い関係をつくってきた。

外国育ちの彼女と、日本育ちの私。
いわゆる“ゴリゴリの理系”の彼女と、そういう区分をやめた私。
学校という世界だけで生きてきた彼女と、社会人経験者の私。
年齢差もかなりある。
「私は普通です」と言いたがる彼女と、少数派を自認する私。
スポーツやバイトにいそしむ彼女と、引きこもりの私。
目分量とカンで料理する彼女と、きちんと計量してレシピどおりに料理する私。

これだけ違っていて、よく仲良くできたもんだと改めて思う。
彼女がうちの近所へ引っ越してきてからは、急に彼女がやってきてそのまま泊まったり、明け方までおしゃべりしたりすることもあった。
パーティーで人が集まると、働き者で勝手知ったる彼女は、ごはんを炊いたり洗い物をしたり、いつも率先して手伝ってくれた。

日ごろはお互いに日本語を使う機会が少ないし、研究や仕事で時間がとれない時期もあるから、会ったときはいろんな話をした。
かなしい話もしたし、毒の効いた話もしたし、くだらないけど笑いが止まらない話もした。

彼女はきっと「何もしてない」と言うだろうけど、私が彼女に助けられたことは数え切れない。
命を救われたといっても過言ではない。
本当にありがたく、心強い存在だった。

彼女に勧められて、1日2つ「えらかったね」と自分を褒める「ホメメモ」を始めて半年。
あの日、それぞれに「今日からこれをやろう」と決めて一緒に始めたのだが、結局続けたのは私だけ。
私たちはとことん違う。

この半年の間に、彼女は論文を書き上げ、学位を取得し、希望した就職先に招かれて、遠くへ行くことが決まった。
先月ごろまではしばらく会う機会を逸していたのだが、ここに来て急に頻繁に会うシリーズがはじまり、なんだかんだで3日に一度くらいのペースで会った。
さらに、最後の週末である昨日また食事に出かけた。
「送別会や引越で忙しいんだし、他に会いたい人もいるだろうから、もういいよ」と言ったのだけど、「いや、デートしましょう」と、珍しく強く誘われた。

人気のレストランのテーブルにつくなり「ここの予約がとれなかったら、C店にしようと思ってたんです」と彼女。
私も同じことを考えていた。
4年前、はじめて会ったお店だもんね。

思い出を共有し、一緒に振り返ることができる相手がいるというのは本当に幸せなことだと思う。
決してハッピーなことばかりじゃなかったけど、それもすべて私と彼女をつなぐのに役立ったと思えば、ありがたく感じられる。

彼女にとっての大きな章の終わり。
新しい、大事な章のはじまり。
明日の朝、見送りにはいかないけど、彼女を乗せた飛行機の音くらいは、聞くのだろうと思う。

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ホメメモ (2015/2/17)

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