休まない自慢

みんなが休んでいるときに「休んでないよ」と言いたくなる傾向について。

夏休み、ゴールデンウィーク、年末年始など、国民的大型連休になると必ず「私は休みじゃありません」とアピールしたがる人がいる。

アメリカで知り合った人に、そういう人はいないと思う。
「休みだよ!」と言うことはあるけど、「休みじゃないよ!」をアピールするというのは、ちょっと不思議。
みんなが休んでいる日に働くというのは、たとえばThanksgiving にも、ホテルや空港や一部の飲食店などは開いているわけなので、働いている人がいないわけじゃない。
ただ、私の身近にはそういう人がいないし、いたとしてもわざわざ大声で言うようなことじゃない気がする。

アメリカにいても、アメリカ人との交流が少ない日本人は、わりとこの「休んでないアピール」をしたがるかも。
単身の留学生とか、日本人家族とか、NYC などで日本人コミュニティの中に住んでいる人とか。
日本人は他の外国人に比べると順応性が高いと思うので、自らの異文化具合に気づけば結構すぐ郷に従っちゃうんだけど、このあたりのズレは、気づきにくいところなんだろう。

逆に日本にいる日本人でも、最近は少しずつ「自主的に、きちんと休む」人が出てきた。
ただ、まだ「休むことを宣言する」など、肩に力が入っている様子。
主に啓蒙の目的で、あえて「休む」ことをアピールし、それをカッコいいものに転換していこうという意図が見える。
裏返せば、それだけ日本の文化において、「休む」ことへの抵抗が強く、「休まない」のがカッコいいという意識が根強いのだろう。
それで、戦略的に「休む」を導入しようとしている人がいて、影響力のある企業や個人に協力してもらい、休むことを推進するために率先して休んでいる、と、そんなところかな。

私は文化の違いに優劣をつけるのを好まないし、違いは違いでいいと思うタイプ。
これに限らず基本的にアメリカ式は「いいでしょ」をアピールして「よかったね」と返し、日本式は「よくないでしょ」をアピールして「お気の毒」と返す。
それだけのことだ。

だから、アメリカでは大統領のバケーションの様子が映し出され、日本では首相をはじめ政治家はみんな年がら年中あくせく働き、苦労しているように映し出される。
大統領だってそこそこ忙しいし、首相にも休みはあるんだけど、それぞれの国民の“好みの違い”だから、しょうがない。

ではあるんだけど、この「休み」に関しては、アメリカ式の方に軍配が上がるような気がする。
もちろん私は日本生まれ日本育ちなので、もともとは「休まないアピール」に違和感を覚えなかったし、特に大学生から社会人になったぐらいの、大人ぶりたい頃には私も「休まないアピール」をしていた時期があったように思う。
「休まない」は、日本のデキル大人の象徴だったのかもしれない。

でも、もうやんない。
21世紀になって15年も経つのに、まだ「休まないアピール」って。
「なんか、昭和」と思っちゃう。
休んでなくてもいいけど、別に言わなくていいじゃんね。
「欲しがりません勝つまでは」「ぜいたくは敵だ」じゃあるまいし。
そもそも、休むのはぜいたくでも何でもない。
しっかり働いて、しっかり休むのは当たり前。

ま、でもこれは時間の問題でしょう。
そのうち「休めないなんてカッコ悪い」が台頭してきて「休んでるぜ、えっへん」合戦を経て、日本人もだんだん上手に休めるようになって、休むことが普通になって、やがて文化になっていくんでしょう。

というわけで、休みに関して「2015年の日本はまだ“昭和”だったんだな」と、あとで振り返るための記録。

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