『英語の学び方』

日経ビジネス[アソシエ]2015年2月号『今年こそ身につく!英語の学び方』(参照)を読んだ。

雑誌は大の苦手。
読むところが多すぎる。
表紙だけでもタイトルとおぼしき『今年こそ身につく!英語の学び方』の他、「英語の学び方“1週間やり直し”プログラム」「仕事に即効!」「仕事で困らないとっさのひとこと英語」「カリスマ講師が教える!今日から使えるシーン別英語フレーズ」「話す、聞く、読む、書く、中学レベルでここまでできる!」「土壇場での“英語力アップ術”」「実はシンプル!今日から使える「TED学習法」」など。
さらに、挿絵的な画像までアルファベットと、文字だらけ。

私の読み方が間違っているのはわかっている。
全部読まなくていいんでしょ。
たとえばこの雑誌には載ってないけど、雑誌に付き物の星占いのページ。
私は12星座すべて隅から隅まで読んじゃう病気だけど、ほとんどの人は、自分の星座のところしか読まないんでしょ。
出版する側も、多くの人がこのページの12分の1以下しか読まないことを想定してるんでしょ。

だからこそこの号も、社内公用語化で有名な会社の会長のインタビューに始まり、英語の上手な人がどうやって英語を身につけたか聞いて、今すぐパパッと上達するためのさまざまな方法を紹介して、「ご自分に合うところだけ読んでください」というわけなんだよね。

今後どんな学習者に出会うかわからない身としては、さまざまなタイプの学習者が、さまざまな事情と動機と目標を元に、自分に合った学習法を探し始めた場合に備えてさまざまな方法を広く浅く知っておくことは重要。
だから、私のような読者には(読むのは辛いけど)ピッタリ。
しかし、そんな読者はめったにいない。

全体の構成として、序盤は英語圏に住んでいたり外国と直接交渉する立場にいる上級者向け。
ページが進むごとに、趣味程度に英会話を続けている中級学習者向けへと移り、最終的には、外国や外国人とは無縁、だけど英語への憧れを捨てられない人たちから、話すこと自体が怖い人までカバーしている。
もし私が上級者なら、最初の部分以外は必要ないし、もし私が初級者なら、前半に書かれていることにはついていけない。

表紙の情報や内容から察するに、ターゲットとなる読者は、英語学習経験はあるものの、自分で満足できるほどの英語力が身についていない人。
「英語やんなきゃ」という思いを漫然と抱えたまま、何をすればいいかわからない人。
「できたらいいな」とは思いつつ、英語がなくても困らない人。
「勉強したいけど、忙しい」「時間さえあればできるのに」と思っている人。
「楽に、簡単に、カッコよくしゃべれるようになりたいなぁ」と思っている人。

この人たちに、6cm角のでっかい文字で「英語」を迫り、うんざりするほどの煌びやかな体験談や大量のオススメ情報を浴びせたらどうなるか、わかるでしょ。
「ご自分に合うところだけ読んでください」は無責任でしょ。
自分に何が合うかわかってるような人なら、この雑誌は買わないよ。
「苦労しろ」「楽しくやれ」「とにかく聞け」「真似しろ」「話せ」「読め」「暗記しろ」「慣れろ」「コツコツやれ」「このアプリを使え」「いやこっちだ」「これもあるぞ」…で、とどめは付録の文例集(50ページのハンドブック)をドーン。
そして雑誌は放置され、月日は流れ、ある日、部屋の片隅で“古本”として発見されて、「あぁ『今年こそ』なんて思ったことがあったんだなぁ」ってなるのさ。

誤解のないように書き添えておくと、それぞれの学習法の紹介やオススメ内容に嘘はない。
ベースにあるのは善意なのだろうとも思う。
しかし、読者への愛が欠けているのだ。
「これを読んだ人は本当に『今年こそ』を達成する」と思って、あるいはそれを願って作られてはいない。
来年になったらまた『今年こそ』の特集を組むのかもしれない。
そういえば日経ビジネス[アソシエ]は2014年4月号で『絶対使える英語(CD付き)』という号を出していた(参照)。
このときも「英語」は6cm角だったなぁ。
2014年8月号は『世界一わかりやすい!英語習得“最短ルート”英語勉強法』(参照)だった。
4-6ヶ月ぐらい経つとまた再出発したくなるのかな。

繰り返すけど、大事なのは「英語教育リテラシー」。
教育する側は、学習者を惑わせる情報をいち早くキャッチして、学習者向けに警告する必要があるだろう。
学習者の皆さんには、本当に親身になって自分を応援し、自分の英語を伸ばしてくれる本物の教育者を見つけ、信頼できる情報を適切に選択して自分の頭で考え、自分で道を作っていけるようになってほしい。

高柳正盛.(発行人)(2015, 2月). 日経ビジネス アソシエ. 284. 日経BP社.

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