英語教員留学制度

先日の勉強会で会った方に、日本の英語教員の留学事情について聞いた。

学校で英語を教える現役の先生たちを3ヶ月間アメリカへ送り込むという制度が、東京都などを中心にすでに始まっているそうだ。
毎年、数百人の先生たちが“短期留学”をしているということ。

後日、ネットで関係のありそうな情報を探してみたところ、ざっと拾っただけでも以下のような資料が集まった。
21世紀の国土のグランドデザイン 戦略推進指針 「広域国際交流圏の形成」(1999/6)
東京都、公立中高英語科教諭に海外留学を義務付け (2013/11/26)
若者の海外留学促進のための関係省庁等連絡会議(第1回)(2013/12/10)
文科省「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」について(2013/12/13)
平成 26 年度教育庁主要施策 (2014/2/27)
若者の海外留学促進のための関係省庁等連絡会議(第2回)(2014/4/23)
平成26年度英語教育推進リーダー中央研修実施要項 (2014/4/25)
第2期教育振興基本計画 (2014/6/14)
「日本再興戦略」改訂 -未来への挑戦- (2014/6/24)

…まぁ少なくとも、長い年月をかけて会議がたくさん開かれてきていることはよくわかった。
で、英語の先生向けの“短期留学”が実現したこともわかった。

が、それでどうなったかがわからない。
計画についてはいとも簡単に資料がざくざく見つかるのに。
探し方が悪いのかしら。
年度末で締めて、4月以降ぞくぞく出てくるのかな。

今回お会いしたのはあるアイビーリーグの教育大学院の職員の方。
今夏、外務省経由で送られてくる先生方を受け入れる準備をされているそうだ。
「自分は英語教育が専門ではないのでわかりませんが」と断ったうえで、それにしても“短期留学”の中身が明確でないことに懸念を示された。
(「“ ”」を付けているのはそういうこと。)

お話をうかがい、上記資料に目を通したうえで私が感じたのは、とにかく英語教員の英語力を上げるための“短期留学”らしい、ということ。
つまり、“語学留学”なのだろう。
それによって“オールイングリッシュ”な授業を実現したい、と。
だから、たとえば教育大学院で単位をとることなどは課せられていない。
ホームステイなどでもOK。
制度の有効性は“留学”前後のTOEFLスコアかなんかで測る。

うーむ。
そりゃまったく無駄だとは言わないけど。
その程度のことにこんなに多額のお金を使っていいのかしら、と思う。
もちろん英語教員の英語力を上げるのは必須だし、案として、たとえ3ヶ月でも英語圏で生活するというのはアリでしょう。
でも、正直、3ヶ月でどうにかなると思う?
まさか「英語漬けで暮らせば誰でもペラペラに」という神話に乗せられてるわけじゃないよね。
そして効果の測定は、どうなの?
英語力はそう変わらなくても、教え方が変わったりすれば進歩としては大きいと思うけど、そのへんは?
せっかくの資源とチャンスをもっと有効に使うための革新的なアイディアが欠けていると思う。

「教員を“留学”させよう」「そのために予算を組もう」という議論の前に「留学以外の方法はないか」「留学して、何を学ばせるか」「留学後にどう生かすか」っていう議論はあったのかなぁ。

一般の人の例も無視すべきではないだろう。
3ヶ月程度の“留学”をした人の多くはどうなってる?
短期の駐在員たちは、果たして“英語漬け”の生活をしてる?
国のお金を使ってやる以上、楽しい思い出ができただけにならないよう、しっかり議論しておかなきゃいけないと思うよ。

国内にいたって、「日本人英語教員向けセミナー」(参照)などの場はすでにあるし、もっと増やすこともできる。
3ヶ月といえば1学期弱に相当するが、それだけの期間、教員が国の外へ出てまで学ばなければならない理由は何か。

たとえば留学させるとしても、留学前に少なくとも大学院で教育の専門的な授業を受けられる、あるいは現地でESLの実習ができるぐらいの準備をしておけば、3ヶ月の期間で本当に有意義な教育を受けることができる。
留学制度を利用する先生方一人ひとりに、「自分が日本の英語教育を良くしていかなければならない」「厳しくても成長するために留学したい」と覚悟させることはできているか。

そして留学して、見事変貌を遂げた先生方を学校や生徒や保護者は受け入れられるのか。
帰国後、意気揚々とクラスへ向かってみたもののウケが悪く、結局従来どおりのやり方に逆戻り、というシナリオは描けないだろうか。
留学した先生と、していない先生との関係性はどうだろうか。

「見落としているようですが、初年度の留学経験者からこういう素晴らしい結果と報告が出ていますよ」という指摘があるといいな。

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