アメリカのこと

アメリカをよく知る日本人と、そうでない人との違いについて。

アメリカのことがよくわかっている日本人は、日本人が思うよりずっと少ない。

たとえばいま話題になっている人種や警察のことにしても、経済や政治のことにしても、まずそれらについて積極的に言及するかどうか。
するなら、どう言及するか。
そこにはその人のアメリカ観が表れ、アメリカのことがどのくらい見えているかが表れる。

新聞、テレビ、ブログなどのメディアを通じて、あるいは直接会って話をする中で、小さなサンプル+主観的にではあるが、私がどういう人に対して「アメリカのことをよく知っている」と感じるのか考えてみたのだが、よくわからない。

以下、重ねて申し上げるが、小さなサンプル+主観的な私の感想。

同じガイジンでも、日本以外の国の人を考えると、その中に占める“アメリカわかってる率”は日本人の場合より高そうだ。
カナダやヨーロッパなど、アメリカと言語、文化、社会構造的に重なるところが比較的多い国の人は、まぁ当然としても、アジア人など、条件としては日本と近いと考えられる国の人が日本人よりずっとよくアメリカを知っているというのは注目すべき点だと思う。
つくづく、日本は特殊な、辺境の国だと思う。

日本人の中の“アメリカわかってる率”を考えてみると、まず、「アメリカに住んでX年」などの在米歴には関係がなさそう。
国際結婚などで家族にアメリカ人がいるかどうかも関係なし。
英語力は、多少関係があるかと思ったが、そうでもなし。
政治や歴史、経済、文学などを研究している人や、アメリカで商売をやっている人は、わかったようなことを言う傾向が強いが、実際はそうでもなし。
逆に、アメリカに住んだことがなくても、英語ができなくても、わかっている人はわかっている。

つまり、留学しても仕事しても結婚しても、アメリカ人と一緒に働いても暮らしても、永住権を得ても、アメリカに関することを専門的に研究しても、どんなに英語が上手になっても、関係がない。
そういうことじゃないんだろうね。

アメリカのことがわからない人の特徴は、たとえば
①アメリカに関する情報に触れることがない。
②アメリカへの憧れが強すぎる。
③アメリカに対して劣等感がある。
とかかなぁ。

①は「自分とアメリカは関わりがない」と信じている人たち。
日本にいてもアメリカ関連のニュースはいくらでも入ってくるし、無視する方が難しいんじゃないかと思うけど、どうやら可能らしい。
アメリカで何が起きようと、アメリカ人がどういう動きを見せようと、対岸の後ろの山脈の裏の火事という感じで、目に入らないようだ。
同じ岸にいるはずの在米日本人の中にも、そういう人がいる。
場所がアメリカだというだけで、日本と変わらない暮らしをしている日本人は結構いるしね。

②は、アメリカが大好きで、目がハートで、アメリカ教に執心していて、アメリカを尊敬していて、アメリカがすることなら何でもOKという人たち。
アメリカに住んだり、英語を使ったりして、アメリカとお近づきになれることがうれしくて仕方がないので、いくら周りにアメリカ人がいても、英語を使っていても、アメリカがなかなか見えてこない。
アメリカに嫌われそうな予感がすると、先回りしてご機嫌をとり、“身内”をこき下ろしたりお金で解決したり、なんとか赦してもらえるように下手に出たりもするが、その関係性が健全かどうか検証することはない。

③は、②と表裏一体のネガティブ版。
日本はアメリカと対等にやりあうべきと考え、アメリカに盲目的に追従し、迎合する人たちを目の敵にして「あいつらは何もわかってない」と強く出る。
あるいは、アメリカに対して弱腰になることを恐れるあまり、「いつかアメリカをぎゃふんと言わせてみせる」と息巻いて、アメリカのすべてに反発したりもする。

で、じゃあアメリカのことがわかっている人の共通点を無理やりひねりだそうと思うと、うーん。
うっすら感じるのは宗教についての理解、religious literacy かもな。

根幹が見えていれば、その後の展開に予測がつく。
枝葉だけを見ている人は、枝や葉が揺れるたびに、右往左往、二転三転、ぐらぐら。
相手の動きが読めなければ、無視するか、媚びへつらうか、反発するか、ぐらいで対応することになってしまうのだろう。
日本のいろんな決め事に情が大きな影響力をもつことを、アメリカ人は日本人よりよく知っている。

残念なことに、いくら個人が①「自分とアメリカは関わりがない」と言い張っても、日本にはその選択肢がない。
日本の現在と将来のことを思うなら、アメリカを外して物事を進めようという考え自体があり得ない。
とはいえ②や③ではまずい。

日本では、今ちょうど政治家を一人ひとり見定める時期。
日本の政治をやる人にとって、アメリカがわかっているかどうかは何よりも重要なこと。
「票を投じたくなるような候補者がいない」と言う人は、「アメリカのことがわかっているな」という人を選んでおいたらいいんじゃないかと思う。
それがどういう人かは、ま、それぞれ考えてもらうってことで。

重ねて申し上げるが、在米歴や英語力は関係ないよ。
アメリカの大学を出たとか、アメリカ人の友達がいるとか、アメリカが好きとか嫌いとかも関係ないよ。
取ってつけたようなアメリカ風身振りも関係ないよ。

第47回衆議院議員総選挙の在外投票は明日から投票開始(参照)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です