「水々しい」

日本の和菓子屋さんのゼリーをいただいた。

カップについているフィルムにこう書いてあった。
「水々しいお菓子です。衣服など汚されませんようお気をつけてゆっくりとお開けください。」

言葉遣いや内容から、また日本のお客の話もできそうだけど、今日はそっちには行かないで。

「水々しい」。
違和感。

いや、辞書にも載っているようだし、一般に許容されているということは知ってるんだよ。
ネット上にも考察がたくさんあって、「本当は『瑞々しい』または『瑞瑞しい』なんだけど、常用漢字(参照)とか、水分がポイントになることが増えたとか、諸事情により『水々しい』『水水しい』もOKになってるんだよ」というような説明が見つかる(参照1 参照2 参照3 参照4)。

だから両方とも“正しい”ってことでいいんだよ。
ただ、このゼリーの場合はやっぱりおかしいと思う。

「_々しい」となる語を、私は個人的に以下の3種類に分けて考えている。

A: 忌々しい、騒々しい、苦々しい、荒々しい、弱々しい、など。
B: 図々しい、女々しい、由々しい、物々しい、仰々しい、など。
C: 清々しい、若々しい、初々しい、華々しい、など。

A群はもともとネガティブな意味を持つ漢字を重ねて、そのネガティブさを強調したもの。
B群はニュートラルな意味の漢字を重ねることで、ネガティブなニュアンスを出しているもの。
C群はもともとポジティブな意味を持つ漢字を重ねて、そのポジティブさを強調したもの。

つまり、「_々しい」が良い意味になるためには、重ねる漢字が圧倒的に良い意味でないといけないのだと思う。
この分類によれば「瑞々しい」はC群に入るが、「水々しい」はB群である。
箱に入り、籠に乗り、薄紙に包まれた高級ゼリーが、水浸しのビチャビチャを連想させることになってしまう。

…と思うのだけど。
皆はそうじゃないのかしら。

私は日本で見かける不思議な外国語(英語)や、外国で見かける日本語のTシャツや看板などについて、「一度でも、チラッとでもネイティブに見せればすぐに修正できることだろうに」と思っていたが、この現象はもはや母語にも及んでいるのかもしれない。

日本の有名和菓子屋さんが、商品にこの文字列をプリントして販売するまでにも、販売を始めてからも、その過程に日本語ネイティブの目はいくつもあったに違いない。
その中に違和感を覚える人がいなかったのか、多少の違和感はあっても商品イメージを悪くするほどではないと判断されたのか。
ちなみに「お召し上がり方」という注意書きでは「みずみずしい」となっている。
気づいてないわけではないってことかなぁ。
むしろ気づいてないからこその一貫性のなさかなぁ。

私が担当者なら、確実に修正させるね。
こんなところで常用漢字が問題になるとは思わないけど、もし「瑞」が表外漢字だから使えないというなら社名の最後の文字も変更しなくちゃならないし。
注意書きと同じようにひらがなにだってできるんだし。

フィルムをはがすときは気になっても、ゼリーを食べておいしかったら満足して忘れちゃうとか、そういうことなのかな。

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