師匠

師匠にいつか聞いてみたいこと。

新学期が本格的に始まり、いよいよ私も言い逃れができなくなった。
今学期は本当に大事な学期になる。

師匠とのミーティング。
ミーティングに先立って私が提出したものについては、開口一番、あいかわらずの口調で「私はこんなものが読みたいんじゃないんだ」とバッサリ斬られた。
そうは言いつつも、細かなメモを取りながら読んでくれた形跡がある。
足りないところ、修正すべきところをバンバン指摘され、直す必要がない箇所については「…というバカみたいなのがよくあるが、君のはそうなっていない」。
これが彼なりの褒め言葉なのである。

ある部分について結果を問われ、「それが…思ったような結果が出ず、むしろ予想外の方向へ進んでしまいました。私がIntervention (介入)の設定を失敗したのだと思います」と答えた。
怖い顔をして「どういうことだ?」と聞かれたので説明すると、師匠は机をバンバン叩いて”No, no, no!” と言う。

「いいか?そんな結果を他所で見たことはないだろう?少なくとも私がこれまでに読んだ論文のどこにもそんなことは書かれていない。これは君の論文にとっても、英語教育にとっても非常に重要なことになるんだ。“失敗”だなんて考えるな」

へ。
そうなんですか。
「いやぁ…私はこのことにすごくガッカリしていたんです」と言うと、師匠はニヤッと笑い、「君らしい」と言った。

1時間ほどのミーティングを終え、帰る道すがら、改めて不思議に思った。
師匠はどうしてこんなに私の面倒を見てくれるんだろう。

私が師匠だったら、とっくに見限っている。
おとなしく言うことを聞く学生が多い中、私は生意気に意見をぶつけ、今や学生たちの間で“伝説”となっている喧嘩もした。
その時点でクビになっていてもおかしくなかった。
そして、今でこそキャンペーン中だから言わないようにしてるけど、入門した当初から「自信がない」と言い続けていたし、”I’m not qualified” “I’m not supposed to be here”の類を彼の前で何度言ったかわからない。
師匠に「自信を持て」と言われても、自信を持てるようなチャンスを与えられても、ちっとも意向に沿わず、頑なに自信のなさを貫き、メソメソウジウジしている。

もちろん「もう無理です」「辞めます」と言ったこともあった。
「バカなことを言うな」と怒鳴られ、「私の言うことが聞けないならAdvisor を変えればいい。辞めるというのはあり得ない」と言われた。

私が師匠だったら、確実に辞めさせていた。
だって本人があんなに辞めたがっていたんだから。
実際、辞めさせた学生もいたじゃない。
私は引き止めなきゃいけないほどの学生でもない。
他に優秀な学生はいくらでもいる。
私を置いておくなんて、ハイリスク・ノーリターンだよ。

いずれ来る師匠との最後のミーティングで、いつものように師匠が「質問は(語尾下がる)」と言ったらこう聞いてみたい。
“Why didn’t you give up on me?”

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