Willful Blindness

The dangers of “willful blindness”、日本語字幕が公開された(参照)。

“willful blindness” には定訳がなく、翻訳者と校正者(私)の間でじっくり悩んだ。
「無視」はそもそも意図的じゃないの?とも思ったので、辞書や法律関連の論文などあちこち調べて、『積極的無知』、『故意の認識回避』などいくつかの候補を挙げ、話し合って『意図的な無視』を選んだ。
講演者の著書の訳本(参照)ではタイトルに「見て見ぬふり」という表現が使われているが、”willful blindness” の本質は「見ざる聞かざるを決め込む」「意識的に知らない状態を保とうとする」ということにあるのであって、「見ちゃったけど見なかったことにする」のとは別のものと判断し、訳も別のものにした。
(ただし講演者名のカタカナ表記については、著書の訳に合わせた。)

モンタナ州リビーで産出されたバーミキュライトによるアスベスト被害。
私はこのトークを聞くまで事件のことは何も知らなかったので、翻訳するにあたり以下のような資料に目を通した。

Democracy Now! A Town Suffering for Generations (参照
中皮腫・じん肺・アスベスト センター バーミキュライト(蛭石、ひる石)に関するQ&A (参照
森裕之 (2008) 「モンタナ州リビーにおけるアスベスト災害」政策科学アスベスト問題特集号 (参照

1920年前後からアスベストの有害性が指摘されていたにも関わらず、企業の隠蔽、従業員や住民たちの”willful blindness”によって被害が明るみに出るまでに長い年月がかかり、その間に多くの命が失われた。
1990年に鉱山が閉鎖されてから20年以上経った今も、リビーにはアスベストによる健康被害を訴える人がたくさんいる。

これぞ、人災。
“ムラ体質”の恐ろしさを知った3.11以後の日本人には、このトークのメッセージがより強く伝わるだろう。

生徒の様子を間近に見ている英語の先生が、「このままじゃ、うちの生徒たちはいつまで経っても英語ができるようにならないなぁ」と何となく気づきながら、原因を追究したり、対策を講じたりしないのも、ね。

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