上座・下座

在米日本人文化における、席次のマナーがわからない。

日本で、着席する人が全員日本人の場合は、みんながだいたい同じ基準を持っているから問題にならない。
日本で外国人を接待する場合は、日本式に沿ってもらうから構わない。
アメリカで、日本以外の国の人が混ざっている場合は、よほど格式ばった場以外は何でもアリだから構わない。

問題は、場所がアメリカで、参加者が全員アメリカ在住の日本人の場合。
席次について、なにか独特のルールがありそうなのだが、誰も教えてくれないし、どこにも書いてないし、正解がわからない。
放っておこうにも、理に適っていないから面倒なことになるし、なにより気持ちが悪い。

以前、私を含む学生5人と教授の、日本人ばかり計6人で食事に行ったときのこと。
運転できるのが教授と私だけだったので、2台に分けて他の学生を乗せてレストランへ向かうことになった。
私の車は教授たちに少し遅れて到着。
先に学生をレストラン前で降ろし、駐車場に車を止めて店内へ入った。
するとテーブルでは奥の4つを学生が占め、教授が一番の下座に着席していた。
私は驚いて教授に「あちらへお替りください」と言ったのだが、教授は「いえいえ、よくあることですから」とおっしゃって、そのまま食事が始まってしまった。
どうやら教授も先に学生を降ろし、店内に入ってきたところ、すでに奥から席が埋まっていたので、3を私に譲り、自分は6番席に座ったということらしい。

学生に限らず、日本人の集まりでは、若手ほど「あ、私、奥いきます」と言う。
その言い方からすると気を遣っているようだし、面倒を買って出る風ではあるのだけど、率先して上座をとるということに、私は違和感を覚える。

そして、たとえば食事が運ばれてくれば、やっぱり“下座”の人がそれを受け取ったり取り分けたりすることになり、そのときには“上座”の若手が恐縮して「すみません」と言うことになるのだ。
“上座”から手を伸ばして「私がやります」なんてこともある。
上座に座る度胸があるなら、こんなことで恐縮すべきではない。
恐縮するなら上座をとらなければいい。

先日も日本人ばかりが働く会社に“お客様”として伺ったのだが、オフィスの入口の真横に席が用意されていた。
私は床の間のある家で育ったし、社会人デビューしたのも日本だったし、日本式の会社訪問やお茶汲み業務もやった経験があるので、こういうことがつい目に付いてしまう。

とはいえ私が日本で社会人をやっていたのも秘書検定を受けたのもずいぶん前のことなので、ひょっとしたらイマドキの席次マナーは違うのかもと思って、念のため検索して確認した(参照1参照2参照3)。
そうだよねぇ、変更なしよねぇ。

おそらくこれは、日本文化とは別に、在米日本人独特の文化があって、そのマナーを私が知らないと解釈すべきなのだろう。
この文化圏では、目上の人、年長者、客などを、入口から近い“早く座れる”席に座らせるのがもてなしであり、料理や飲み物が運ばれてきたり、打ち合わせ中に訪問者がドアを開けたりした場合には、奥に座る者が気を遣って、客人などに「すみません」と謝るのが礼儀とされているのだろう。

気持ち悪い。

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