コミュニケーション

クローズアップ現代 2013年3月13日放送、『“大人の発達障害” 個性を生かせる職場とは?』(参照)を見た。

発達障害のメカニズム、業務の多様化と不景気で寛容さを失った職場で発達障害の人が起こす問題、本人が抱える問題、発達障害に対する本人や周囲の理解と対策、発達障害のある人の特性を生かす環境づくり…など。

良い内容だったと思う。
これまでに私が出会ってきた発達障害の人たち、特に子どもたちのことを考えながら見た。
たとえば10年前と比べると今は『発達障害者支援法』(参照)もでき、研究も、教育現場や就労支援などの取り組みも進んできた。
彼らにとって、少しずつとはいえ、環境がよくなってきているというのはとてもうれしい。

一言、付け加えるなら、「コミュニケーションってのは素人さんが思うほど簡単じゃないんだよ」ってこと。

これは日本人の英語でもまったく同じなのだけど、素人さんほど「誰にでも簡単にできる」と根拠もなく思い込んでしまう。
「頑張れば必ずうまくなる」と信じてしまうと、上達しない自分や他人に苛立ったり、「どんなに頑張ってもできない場合がある」という事実を受け入れることができない。

実際には、日本人が英語をやるに当たっては、大変なことや難しい部分がたくさんある。
それを知っていれば、「誰でもできる」「できて当たり前」「できないのは努力が足りない」などと乱暴なことは言えなくなる。

「日本人は英語が下手で当たり前」。
「うまくいったら奇跡」。
私は英語教育に携わる者として、今後もこのスタンスで行くつもり。
奇跡はたまには起きるから。

人間のコミュニケーションは、非常に複雑で難しい。
何十年も毎日欠かさずコミュニケーションの経験を積んでも、コミュニケーションに長けた人はめったに生まれない。
普通は思ったことがうまく伝えられなかったり、相手の気持ちがわからなくて不安になったり、言葉が多すぎたり少なすぎたり、喧嘩したり誤解したり、嫌な思いを繰り返しても、なかなか上達しないものでしょう?

まして障害として、コミュニケーション能力の成長に制限を持っている人もいる。
努力とかの問題では全然ない。

コミュニケーションの専門家たちは、研究者にありがちな変人でもあるので、発達障害的な特徴を持っている人もたくさんいる。
コミュニケーションの知識がどんなに豊富でも、“実技”の助けになるとは限らないのだ。
むしろコミュニケーション上問題となる要素があるからこそ、コミュニケーションという分野に興味を持ち、研究することができるのかもしれない。
私自身についてもそうだと思う。

自分の経験から得たコミュニケーション特性とは別に、私はコミュニケーションを学問としてかじった身なので、コミュニケーションがいかに難しいか、よく知っている。
うまくいっていると勘違いしている、つまり当人たちが問題に気づいていない場合も多いが、そもそも何の問題もなく、スムーズに進むやり取りなど、めったにないと思っている。
さらに、自分のコミュニケーション能力にも自信がないので、コミュニケーションに対し、常に慎重な姿勢をとっている。
「言えばわかる」「伝わるに決まっている」「誤解する方がおかしい」なんて乱暴なことはとても言えない。

「人間はコミュニケーションが下手で当たり前」。
「うまくいったら奇跡」。
そう思ったら、イライラしたり、腹が立ったりすることは減り、たまに起きる奇跡に喜びを感じられるようになるんじゃないのかなぁ。

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