日本から取り寄せた本が届いた。

細いご縁の糸を手繰っている途中でたまたま見つけた本。
日本で言語(英語)教育をやっている外国人の大学教授たちが中心となって作ったらしい小さな学会が、自費出版的に出している本。
ほぼ得体の知れない論文集なのだが、なぜか、読まなければならない気がした。

英語で書かれた本ならたいていどこからでも手配してくれるうちの大学図書館にも蔵書はなし。
アマゾンその他の書店でも扱いはなし。
ないだろうと思ったけど電子版もやっぱりなし。
該当の学会のサイトは手作り感あふれる雰囲気で、お金の絡むことはなるべく避けたい感じだったのだが、どうやらここから直接購入するより他に道はないようだった。

仕方ないので学会のサイトから注文。
といっても申し込みフォームのようなものはなく、本の題名、冊数、代金、送り先などを書いたメールを担当者の個人アドレス宛に送る、という完全に昭和な仕組み。
支払いはスタッフの一人らしい方の個人口座へ振込。
怪しいったらない。

でもまぁ大学の職員の方たちなんだし、大丈夫でしょ。
「商品は入金確認後に発送」とのことなので、日本の銀行のオンラインバンキングから振込み手続きを始めると、あろうことか「振込先が確認できません」。
えー。

注文受付用のメールアドレスに問い合わせると、すぐに担当者Dから返信が届いた。
「いまヨーロッパ出張中で3週間ほど帰らないので事情が確認できません。ご希望の本は、その本の編集をしたTのところになら在庫があるはずなので、彼から送ってもらうように頼んでおきます」。
サークル活動みたいだね。

振込の件はその後、「確認するからもうちょっと待って」「口座を持っている人に聞いたところ、現在も使っているらしい」「海外からの送金は受けられないのかもしれない」「番号を押し間違えてないか」など、のどかなやりとりが続いた。
痺れを切らした私が、ペイパルなど、他の手段での支払いを提案したが、前例がないらしく、却下。

明らかに商売慣れしていない。
この本を買う人もめったにいないのだろう。
そのめったにない注文が、よりによって担当者の長期不在時に舞い込んだわけだ。
知り合いの在日本外国人のことを考えてみても、日本の事務手続きが得意な人は思い当たらないし、まして大学教授となれば、日頃は事務方や日本人の奥様におんぶに抱っこ状態の人がほとんど。
急遽ピンチヒッターを命ぜられたTはパニクってんだろうなぁと想像する。

なんだか申し訳なくて、キャンセルしようかとも思ったが、Dは出張先から気にしてくれているし、Tも、進捗はないものの、逐一経過を報告してくれるし、二人から謝罪メールが何通も届くので踏みとどまった。
きっと学生思いのいい先生なんだろうね。

最終的には「もうお金は後でいいよ」ってなことになって、Tが本を発送した翌日、ようやく日本人スタッフのおかげで振込先が確認できない原因が判明。
無事、支払いを済ませることができた。
最初のメールから4週間。
えーと、今って2013年だよね?

他でも手に入る本だったら、私の読みたい気持ちがそれほどでもなかったら、DやTの誠意が感じられなかったら、途中のどこかで絶対「やめとこ」ってなってたよ。

そして本が届いた。
まだ最初の章しか読んでいないけど、これは大アタリの予感。
このゾクゾクする感じ。
私の博論に影響を与えることは確実。
今このタイミングで、よくぞ私のところへ来てくれた。

自分の編集した本を個人的に発送してくれたTに「いつか君の論文を読むのを楽しみにしてるよ」と言われた。
がんばります。

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